箱庭の夢【黒】 (ページ7)

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𝟕 ページ7

ここ最近、晴れていたのに今日は土砂降りの雨だった。

放課後の美術室、雨の匂いと絵の具の匂いが混ざる。
わたしはこの匂いが嫌いじゃなかった。わたしは雨の音、匂い、わりと好きだ。絵の具は絵を描くわたしにとっては命を吹き込むもので大事。そんな2つを感じれるのは、なんだか小さな幸せを感じる。

廊下からは、外練ができない運動部がトレーニングをしているようで気合いの入った声が聞こえてくる。
基本的には静かに描いていたいと思うけど、たまにはこういうイレギュラーがあってもいいな、と思う。

目黒くんも練習頑張ってるかなあ、とふと考えていると美術室のドアがガラガラと開く。

「えっ」

「A！」

「目黒くん？！どうしたんですか？」

「休憩の時間で、美術室近かったからA気になって来てみた！」

もしかして邪魔しちゃった？！ごめん！と謝る彼に、大丈夫ですと伝えると彼は近づいてきた。

「絵の調子、どう？」

「うーん、まあまあ、ですかねえ…色合い、難しいです」

「なんかAの絵って上手いし綺麗だから途中の絵でも完成した絵みたいだよね」

教室で見たスケッチブックのも凄いうまかったけど、キャンバス？で描いたのも迫力凄いね、と言う目黒くん。

目黒くんはまっすぐ褒めてくれるからなんだかこそばゆい。

「目黒くんは、凄い褒めてくれますね。恥ずかしくなってきちゃいます」

「そりゃ、思ってることは口に出した方がいいから」

「まあ、確かに？」

「ってわけで俺から1つ聞きたいことがあるんだけど」

…急すぎます、目黒くん。
目黒くんが気になるようなこと？なんか絵について聞きたいとかかな。少しどきどきする。