箱庭の夢【黒】 (ページ6)

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𝟔 ページ6

「………」

「…」

「………」

「…あの」

「？なに？A」

「そんなに見られると、ちょっと緊張するのですが…」

わたしの方が先に食べ終わって、課題の絵を進めていると、無言で食べながらこちらをじっと見てくる目黒くん。

「あ、ごめん。凄い真剣に描いてるから気になって」

無意識だった、ごめん、と謝る彼は見ないようにしてくれてるみたいだけど、やっぱり気になってちらちらと見てくる。

「そんなに気になる？絵描いてるの」

「…俺、器用じゃないから、1つのことしかできないんだよね。無我夢中になってたら案外できてたりすることあるんだけどさ、」

「絵ってこう、こういう風にしたい、こう描いていこうって具体的なことは描いてみないとわからないっていう人が多いイメージだからさ、凄いなあと思って」

あまりにも真剣に褒めるものだから少し照れてしまいそうになる。

「全然、まだまだだけど。人の心を動かせる絵を描けたら嬉しいなって思いますよ」

「完成したらさ、見せてよ」

Aが本気で描いた絵がみたい。

そんなことを言ってくれる彼のキラキラ輝いた目を見たら、更に火がついたような気がして筆がのる。誰かが楽しみにしてくれているなら、描く他ない。

あまりにも集中しすぎて、予鈴がなって慌てて片付けして教室に戻ったのも新鮮だった。…目黒くんはお昼食べ終わってるなら声かけて欲しかったけど、まあいいかって、なんだか目黒くんに対して甘くなってしまった。