箱庭の夢【黒】 (ページ18)

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𝟏𝟖 ページ18

「じゃあ、入学当初からずっとその調子なん…？！」

「うん…まあ、でも私も人と話すのが得意じゃないから……クラスの子、みんなわいわいできるタイプだから余計浮いてみえたのかも…？」

「そうだとしてもよ〜…で、めめはなんで声かけてくれたん？」

「なんか、絵をみてくれて…それから話すようになったんだよね」

人懐っこいよね、目黒くん。
　
そんな風に美術室で話す昼休み。
向井くんと約束していたのもあって、2人でお昼ご飯中である。
向井くんはなんと自分でお弁当を作っているみたいで、わたしよりも女子力が高くてびっくりしたら、向井くんの友達には同じかこれ以上うまいお弁当を作る方がいるらしい。……わたしもお母さんに教わろうかな…

「ん〜〜…確かにめめは懐いた人にはパーソナルスペース近いけどな」

普段はそんなになんよ？特に女の子にはと言う向井くんに驚きを隠せない。

「え、え？……もしかしてわたし、目黒くんに女の子として認知されてないのかな…、？！」

もしやのもしや……目黒くんにとってわたしは、絵がうまい"人"という括り…？性別関係ないみたいな？

少しショックを受けていると向井くんが笑う。

「いやいや〜…Aちゃんってもしかして鈍感？」

「…え？なんでわたしが鈍感とかいう話になるの…？」

元より女として認知されてなかっただろ、自覚なかったのか、みたいな、？！

もんもんとしていると向井くんの笑いがヒートアップする。

「いやあ、Aちゃんせっかくおもろいのにな、周りもはやくそれをわかるとええな」

そんな風に穏やかに笑う向井くんを見て、初対面からわりと話せている向井くんへの既視感に気づいた。

「…お母さんみたい」

「え？！俺、オカンみたいかな？！」

ちょっとショックかもしれん！とあからさまに落ち込む向井くん。ぱちり、と目が合って思わずお互い笑う。

目黒くんの周りの人、目黒くん含めてこんな感じに穏やかな人ばかりなのかな、羨ましいな、凄いな、なんて目黒くんへ思いを馳せた。