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「いつもの攻撃力バフのやつと魔力増大ポーションを頼むよ」
「毎度あり」
カイラからお代を受け取り、ポーションを渡すと彼は爽やかに笑った。
なかなかのイケメンだ。
イケメンな上にランカーなのだから、さぞかしモテるだろうな。きっと、彼とお近付きになりたくて冒険者協会に入る人だっているに違いない。
そんなくだらないことを考えながらカイラの顔をまじまじと見つめていると、カイラは若干身を引いて言った。
「……もし新作があれば教えてくれ。……えっと、顔に何か付いてる?」
「いいや? そういえば新作ならあるよ」
「お! どんなの?」
毎回新作の情報を求めてくるカイラは、新作があることを聞くと嬉しそうに笑った。そんな彼に、私は「ふっふっふっ」と口角を上げる。
「今回のはいつにも増して自信作なんだ」
「へぇ、本当かい!? いつも凄いポーションを作る君の自信作には期待できるな。それで、どんなの?」
目を輝かせているカイラを横目に、私はトランクからガサゴソと1本のポーションを取り出し、「ジャーン!」と彼の前に差し出した。
「その名も……変身ポーション!」
「変身? 別人に化けられるってことか。確かにそれは有用性がありそうだな……。特に敵から情報を聞き出したい時とか……」
ポーションの名前を聞き、ブツブツと分析を始めたカイラに私はこう言い放った。
「なんとなんと……スライムに化けられるんだ!」
「…………え?」
「しかも、どんなタイプのスライムでも可能だよ」
スライムにも、炎スライムや水スライム、雷スライムなんかがいるが、どれにでもなれるポーションだ。
「どう? すごい?」とカイラが褒めてくれるのを待つも、彼はキョトンとした顔で私を見たまま固まっている。
「ねぇ、カイラ? 硬直魔法でもかけられた?」
私が訝しげに聞くと、カイラは我に返ったように首を振った。
「あ、あぁ! ごめん! その、聞きにくいんだけど……」
「うん?」
そう言って口ごもるカイラ。
なんだ?
「えっと……化けられるのはスライムだけかい?」
「え、うん」
「そうなんだ……」
「うん。…………?」
カイラは少し残念そうな顔をしている。
「ちなみに、スライムに化ける予定は?」
「ないよ」
私が聞くとカイラは即答した。
そっかー。スライムになる予定はないかー。
今度は私が残念にする番だった。
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作者名:星月未来 | 作者ホームページ:https://mypage.syosetu.com/2614418/
作成日時:2024年4月18日 19時