Time*8 ページ10
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｢瀬野さん､｣
｢うわ､阿部先生｡｣
｢うわってひどくない？｣
図書館で勉強を始めようと机に向かった途端､声をかけられた相手はまさかの阿部先生。
｢いや…まさかほんとに阿部先生が現れると思ってなくて､びっくりしちゃいました｡｣
｢ふふ､もしかしたら俺が来るかもって思ってたんだ｡｣
｢はい｡少しだけ期待してました｡｣
数学で分からない問題あったし､これは嘘じゃない。
｢あれ､目黒は？一緒じゃないの？｣
｢実は今蓮を待ってるところなんです｡｣
｢でも今日ってサッカー部休みじゃない？｣
｢英語の補習で…｣
｢なるほど､目黒らしいわ｡｣
・
・
・
｢瀬野さん｡｣
｢はい｡｣
｢俺ずっと前から聞きたかったことあるんだけど､聞いてもいい？｣
｢…？いいですよ｡｣
｢こんなこと先生が生徒に聞くの､気が引けるんだけど…｣
｢なんですか？｣
阿部先生が深刻な顔をするものだから､何を聞かれるのか少し不安になる。
でも私のために時間を割いてもらったわけだし､それぐらい答えなきゃ。
｢瀬野さんと目黒ってさ､付き合ってるの？｣
｢え､｣
結構身構えてたのに､まさかの質問。
こんなの休み時間に女子がする恋バナじゃん。
｢あ､いや､ごめん｡よく一緒に学校来てるところとか見かけてたから､どうなのかな〜って気になって｡｣
｢付き合って…ないですよ｡｣
｢え､そうなの？！｣
｢私は好きなんですけどね…片想いです。｣
あれ､なんで余計なこと言ってるんだろ。
私が蓮を好きなんて阿部先生に言わなくてもいいことなのに､口が勝手に動いてた。
｢目黒に気持ち伝えたりしないの？｣
｢勇気がないです｡気持ちを伝えて､今の関係が終わっちゃうのが怖くて｡｣
｢そっかぁ…｣
｢先生が私だったらどうします？｣
｢俺が瀬野さんだったら？｣
｢蓮に告白､しますか？｣
｢う〜ん…｣
口元に手を当てて悩む阿部先生。
｢するかも｡｣
｢え､するんだ｡｣
｢仮に告白が失敗したとして､それを理由に疎遠になるなんて､そんなこと目黒はしないでしょ｡｣
｢…確かに｡｣
｢ていうか俺よりも瀬野さんの方が目黒のこと分かってるじゃん｡｣
｢そう…ですね｡｣
｢目黒のことを信じて､勇気出してみて｡瀬野さんなら大丈夫だよ､きっと上手くいくから｡｣
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作者名：夏目 | 作成日時：2024年4月5日 19時
