Time*6 ページ8
＿＿＿＿＿
水曜日の朝。
今日は行きも帰りも蓮と一緒。
1週間の中で私が1番大好きな曜日。
毎日水曜日だったらいいのにって思っちゃうぐらい､私は水曜日が大好き。
｢おはよ｡｣
｢おはよう｡｣
いつもと同じ､玄関を出るとそこには愛しい人がいる。
蓮の顔を見る度に､毎朝好きだなって思う。
蓮も私の顔を見るといつも笑ってくれるけど､もしかして私と同じこと考えてるのかな､なんて､自分の都合のいいように考えてみたりする。
そんなわけないのにね。
｢寒いね｡｣
｢うん､寒い｡｣
｢手､冷たい｡｣
｢俺も手冷たい｡｣
私が言った言葉をそのまま返す蓮｡
こんなふうに私が“好き”って言ったら､そのまま返してくれるかな｡
そうしてくれたらいいのに。
｢A､手貸して｡｣
｢え？｣
｢いいから､早く｡｣
言われた通りに手を差し出すと､そのまま握られて蓮の制服のポケットへ入れられる。
｢あつっ､｣
｢ふは､リアクションでか｡｣
｢え､カイロ？｣
｢そう｡Aが欲しいかなと思って持ってきた｡｣
｢さっき手冷たいって言ったじゃん｡｣
｢Aが冷たいって言ったから俺もそう感じただけ｡｣
｢ふふ､何それ意味わかんない｡｣
こうやって平然を装って笑ってるけど､頭の中では混乱してる。
だって､手が握られたままだから。
どうして離さないの？って聞きたいけど､聞けない。
どうせならこのまま学校まで離さないでほしい。
｢これ､あげる｡｣
｢なんで？そしたら蓮が冷たくなるじゃん｡｣
｢俺は平気だよ｡寒さに強いから｡｣
｢……｡｣
｢あ､今バカだからとか思った？｣
｢思ってない！｣
｢図星の顔じゃん｡｣
蓮の笑顔が眩しい。
どんな表情も好きだけど､やっぱり笑った顔が1番好き。
何回見てもキュンとする。
この笑顔を近くで見れるのが私だけだったらいいのに。
｢じゃあ駅までこのままで行こ｡｣
｢…？｣
ほんの少しの独占欲。
その欲が私をいつもより大胆にさせた。
きっと今､蓮も驚いてる。
私が普段言わないようなこと言ったから。
｢こうしてたら蓮も私もあったかいままでしょ｡｣
｢ん､そうしよ｡｣
いつもと同じ､駅までの道のり。
でも今日はちょっとだけ違う。
繋がれた手からこのドキドキが伝わらないといいな。
＿＿＿＿＿
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 241人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：夏目 | 作成日時：2024年4月5日 19時
