Time*3 ページ5
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｢A｡｣
｢ん､なに？｣
放課後。
帰る準備をしていたら､蓮に話しかけられた。
｢今日この後予定ある？｣
｢特にないよ｡｣
｢1時間ぐらい待っててって言ったら困る？｣
｢いいけど…蓮部活あるでしょ？｣
蓮の部活はサッカー。
サッカー部は水曜日だけ休み。
今日は月曜日だし､部活はあるはず。
｢今日は顧問の先生の都合で早く終わるから､一緒に帰りたいなと思って｡｣
｢なるほど｡いいよ､待ってる｡｣
蓮と一緒に帰れるなら平気で待てる。
何時間でも待てちゃう気がする。
｢どこにいる？｣
｢図書館で勉強しとく｡明日小テストあるし｡｣
｢分かった｡じゃあ終わったら図書館に迎えいく｡｣
｢うん｡待ってるね｡｣
・
・
・
｢放課後に1人で勉強してるなんて､えらいね｡｣
図書館で勉強をしていると､突然後ろから声をかけられた。
｢阿部先生､｣
振り向くと､その相手はまさかの阿部先生。
手には沢山の参考書。
多分だけど､それを返しに来たのかな。
勉強熱心なところ､阿部先生らしい。
もう勉強なんかしなくてもいいぐらいに頭いいのに。
阿部先生の頭の良さが羨ましいよ。
｢化学？｣
｢はい｡明日小テストがあるので｡｣
｢分からないとこあったら教えようか？｣
｢え､いいんですか！｣
暇だったしいいよって､先生が隣の席に座る。
ふわっと香るいい匂い。
｢実は俺化学も得意なんだよね〜｡｣
あ､先生の一人称が変わった。
先生の素の姿を初めて見たような気がして､なんだかドキッとする。
｢分からないの､どれ？｣
｢ここです｡｣
｢あぁ…これはこう考えると簡単だよ｡｣
自然と近付く距離に心臓が高鳴る。
ほんと､私が蓮を好きじゃなかったらとっくの昔に恋に落ちてたと思う。
今のこの一連の行動も､先生はきっと無意識でやってる。
あざといってみんなが言うのも分かる。
一体先生は今まで何人の女の子を落としてきたんだろう。
聞けないけどちょっと気になる。
｢瀬野さん､聞いてる？｣
｢あ､聞いてませんでした､ごめんなさい！次はちゃんと聞きますので！｣
｢ふは､めっちゃ謝るじゃん｡｣
私の必死の謝罪がなぜかツボにはまったみたいで､大爆笑する先生｡
こんなに笑った顔､初めて見たな｡
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作者名：夏目 | 作成日時：2024年4月5日 19時
