Time*12 ページ14
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｢でもさ､私たちって付き合ってもあんまり変わらなさそうだよね｡｣
｢何が？｣
｢関係性？みたいな｡｣
幼なじみ歴が長すぎて､隣にいるのが当たり前。
きっと付き合っても私と蓮はあんまり変わらない。
｢いや､変わるでしょ｡｣
｢え､｣
なんて思っていた私の浅はかな考えはあっさり否定されてしまった。
｢だって付き合ってなきゃできないこといっぱいあるじゃん｡｣
付き合ってなきゃできないこと。
恋愛経験があんまりない私でも大体は想像できる。
想像できるからこそ､恥ずかしい。
今絶対に顔が赤くなってる。
｢あ､今なんか変なこと想像したでしょ｡｣
顔を隠そうと思っても身長が高い蓮に覗き込まれたらそれはほぼ不可能で､すぐに目が合ってしまった。
｢し､してない！蓮が変なこと言うからでしょ！｣
｢俺はしたいと思うよ？恋人じゃなきゃできないこと､Aとしたい｡｣
｢た…例えば？｣
｢そりゃまぁ…キス､とか｡｣
｢キ､キ､キ､キス､｣
｢ふは､噛みすぎでしょ｡｣
蓮とキス…｡
そんなことしたら恥ずかしさでどうにかなっちゃいそう。
今の私にはハードルが高い。
でも､
｢…？｣
歩く足を止めると､不思議に思った蓮が振り返る。
｢私も…キスしたい｡｣
｢え､｣
｢付き合ってるんだもん｡したって普通でしょ？｣
私がそう言うと､ぐっと近づく蓮との距離。
見上げるとすぐそこに蓮の顔がある。
｢ほんとに､してもいいの？｣
蓮の言葉にこくりと頷く。
ゆっくりと近づいてくる蓮の顔。
どこで目を瞑ればいいの？
ていうかそもそもキスする時って目瞑るよね？
キスなんてしたことないから分からなくて､たった数秒の短い時間なのに頭の中がパニック状態になる。
そんな状態でひたすら目を瞑って待っていても､唇に何の感触もない。
うっすら目を開けてみると､そこには笑いをこらえて私を見る蓮がいた。
｢そんな身構えられるとしずらいよ｡｣
｢身構えてなんかないよ！｣
｢あーあ､Aが雰囲気台無しにした｡｣
｢してないし！｣
そうは言いつつも自分では自覚していて､申し訳なくなって顔を逸らす。
｢A､｣
蓮に名前を呼ばれて振り向いたその瞬間､ずっと知りたいと思っていた感触が私の唇に触れた。
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作者名：夏目 | 作成日時：2024年4月5日 19時
