Time*11 ページ13
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付き合うことになって初めての帰り道。
朝と同じように握られた手。
朝と違うのは恋人繋ぎだってこと。
蓮がただの幼なじみじゃなくて彼氏だってこと。
ほんとに蓮が私の彼氏､なんだ。
片想いの時間が長かったからか､まだ実感が全然湧かない。
｢家に着いてほしくないな｡｣
最寄り駅に着いて家まで歩き出すと､そう言って蓮が手をぎゅっと握る｡
同じぐらいの強さで私も握り返す。
私も､できることならこのまま離したくない。
まだ一緒にいたい。
まだ蓮をひとりじめしていたい。
蓮と一緒だと､帰り道があっという間に感じる。
1人の時よりずっと早い。
気付いたらもう家に着いてる。
家に着く頃には､早く明日の朝にならないかなって願ってる｡
いつも朝が待ち遠しい。
これは片想いしてた頃から変わらない。
｢明日部活休もうかな｡｣
｢ふふ､それはだめだよ｡｣
｢明日もAと帰りたかったのに｡｣
｢私も一緒に帰りたかったけど､蓮がサッカーしてるところも好きだから部活は休まないでほしい｡｣
｢俺がサッカーしてるところ好きなの？｣
｢え､｣
私は蓮がサッカーしてる姿を見るのが好き。
試合を何度か見たことがあるけど､いつも蓮しか見えないぐらいにかっこよくて目を惹かれる。
今までずっとそう思ってたけど､思い返せば直接伝えたことなかったな｡
なんで今言っちゃったんだろ､恥ずかしい。
きっとまだ心が浮かれてるんだ。
｢ねぇ､答えてよ｡｣
横に視線を送れば､にやにやして私の顔を見る蓮。
完全に私の反応を見て楽しんでる。
ちょっと悔しい。
｢好きだよ｡蓮がサッカーしてるとこ､かっこいいから｡｣
｢……｡｣
｢蓮？どうしたの？｣
さっきまで私のことをからかって余裕ぶってたくせに､なぜか急に黙り込む｡
もしかして…
｢ふふ､照れてるの？｣
｢かっこいいとか急に言わないでよ｡｣
｢普段言われ慣れてるでしょ｡｣
｢みんなから言われるのと､Aから言われるのは違うから｡｣
｢私はずっと前から蓮のことかっこいいと思ってたもんね｡｣
｢もう､いいから｡｣
照れてる蓮を見る機会なんて今までほとんどなかったから､すごく新鮮だ。
こんなかわいい姿を見れるのは彼女の特権なのかななんて､少し自惚れてみたりする。
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作者名：夏目 | 作成日時：2024年4月5日 19時
