Time*10 ページ12
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｢蓮､待って､ストップ！｣
私が大きな声を出したからか､蓮もようやく話すのをやめた。
｢私が好きなのは､阿部先生じゃないよ｡｣
｢え？｣
視線を逸らしたくなるぐらい､蓮がじっと私を見つめてくる。
それでも言わなくちゃ｡
先生に背中を押されたんだから。
大丈夫って言ってもらえたんだから。
｢私が好きなのは……蓮だよ｡｣
言っちゃった。
告白､しちゃったよ。
心の中では何度も好きって言ってたけど､実際に口に出すのは初めて。
だからなんか変な感じがする。
｢私は蓮が好き｡ずっと前から蓮が好きだったの｡｣
｢じゃあ阿部先生が好きって言ってたのは？｣
｢嘘だよ｡先生を好きって言えば､あれ以上話を深く聞かれないと思ったの｡｣
｢なんだ…そうだったんだ｡｣
｢阿部先生のことは尊敬してるし好きだけど､そういう好きじゃない｡私のそういう好きは蓮だけなの｡｣
お願い､私の言葉をそのまま返して。
好きって､そう言って｡
同じ気持ちだよって言い返してよ。
｢俺も…｣
蓮が返事を言おうとして､怖くなって顔を俯かせる。
今は蓮の目､見れない。
｢Aが好きだよ｡｣
｢嘘…｣
｢嘘じゃない｡俺はAが好き｡Aと同じで､ずっと前から好きだった｡｣
蓮が､私を好きって言った。
｢蓮が…私と同じ気持ち？｣
｢うん､同じだよ｡｣
現実だとは思えないぐらいに幸せで､体がふわふわと宙に浮かんでいるみたいな気分になる。
夢じゃないよねって疑いたくなる。
｢蓮､好き｡｣
｢俺も好き｡｣
｢うわ…｣
好きって言ったら好きって返ってくる。
それだけでこんな嬉しくなるなんて。
｢ふは､なんだよそのリアクション｡｣
｢まだ信じられなくて｡｣
｢俺もだよ｡ずっとAは阿部先生が好きだと思ってたから｡｣
｢私たち､両想いなんだね｡｣
｢A､｣
｢…？｣
｢俺と付き合ってくれる？｣
｢よろしくお願いします｡｣
私が返事を言うとすぐ､蓮に抱きしめられた。
｢ちょっと､ここ外だよ！まだ学校からそんなに離れてないのに…｣
｢別に見られたって問題ないじゃん｡｣
今ぐらい､少しの時間だけなら､大胆になってもいいのかな。
そう思って､私も蓮の背中に手を回した。
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作者名：夏目 | 作成日時：2024年4月5日 19時
