Time*9 ページ11
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私の片想いの話をしてからというもの､なぜか阿部先生と恋愛に関する話で盛り上がってしまった。
先生の初恋の話､失恋した時の話､学生時代の恋愛話､とにかく色々聞いた。
まさか阿部先生とこんな内容の話で盛り上がる日が来るとは思ってもなかったな｡
琴葉に話したら嘘だって信じてもらえなそう。
｢A｡｣
もうこれ以上話がそれたらやばいなって思い始めてた時､後ろから蓮の声がした。
｢じゃあ俺､行くね｡｣
蓮の姿を見て､阿部先生が椅子から立ち上がった。
｢はい｡今日もありがとうございました｡｣
｢次会う時にはいい報告が聞けるといいね｡｣
顔を近付けて､蓮に聞こえないように小さい声で先生が囁く。
近い距離にドキッとする。
でも今の私の頭の中は蓮のことでいっぱいで､それどころじゃない｡
｢が､頑張ります｡｣
｢瀬野さんなら大丈夫だから､自信持って｡｣
阿部先生が背中をポンポンって叩いてくれた。
なんだかそれだけで勇気が出た気がする。
｢目黒も､補習お疲れ様｡｣
｢どうも｡｣
｢2人とも気を付けて帰るんだよ｡｣
｢さようなら｡｣
｢さようなら｡｣
・
・
・
阿部先生の背中を見送って､蓮と2人で駅まで歩く。
朝とは違って手は繋がれてない。
ちょっと寂しく感じるけど､隣に蓮がいるだけで私は嬉しくなる。
単純だなって笑われるかもしれないけど､それぐらい私は蓮が好き。
｢今日も阿部先生と一緒に勉強してたんだね｡｣
｢う､うん｡｣
｢よかったじゃん｡｣
そう言った蓮の顔を見ると､どこか切なそう。
なんでそんな顔するの？
私にはその理由が分からないよ。
｢前から思ってたけど､阿部先生とAってお似合いだよね｡｣
｢えっ？｣
｢なんか…雰囲気が似てるっていうか｡2人とも賢いし｡｣
｢そんなことないよ｡そもそも私と阿部先生じゃ賢いのレベルが違うでしょ｡｣
｢Aは俺からしたら阿部先生と同じぐらい優秀だよ｡なんでもできるから羨ましい｡俺も阿部先生みたいに何もかも完璧だったらよかったのにな｡｣
｢蓮､どうしたの？今日なんか変だよ｡｣
普段の蓮はこんなこと絶対言わない。
｢先生と生徒とか､そういうの気にしてるの？｣
私が遮っても､蓮の言葉は止まらなかった｡
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作者名：夏目 | 作成日時：2024年4月5日 19時
